HTTPって?(その1)
“Webの進化を振り返ってみる” ということで、まず HTTP って何だろう?ということを紹介していきます。(前回記事はこちら)
HTTPとは HyperText Transfer Protocol の略字です(大文字で示した箇所で略したもの)。日本語でいうと、”ハイパーテキスト (HyperText)” を “運ぶ ( Transfer ) “ ための “プロトコル (Protocol)”。
プロトコル(Protocol)は “通信規約” と訳されます。コンピューター間で、データを送ったり受け取ったりするときのルールと考えればOK。例えば、道路を車が走る場合、日本だったら「左側を走る」「信号機が赤のときは止まる」といったルールがありますが、それと似たようなもんだと考えれば良いかなと思います。
次に、ハイパーテキスト(HyperText)って何なのさ?ってことですが、これは HTML だと考えればOK。Webサーバからブラウザへ HTML を運ぶにあたってのルールが HTTP ってことになります。
今や、Webサイトでは、HTML だけではなく、画像やら動画やら色んなもので構成されているのが普通で、それらは全て HTTP でサーバからブラウザへ運ばれています。なので、HTTPって名前の定義は、今や体を成していない。
しかし、前回記事で紹介したように、世界で一番最初のWebサイトは HTML だけで構成されていました。この時点では、 HTTP という呼び方は正に真を得ていたわけです。
その後、Webが広く利用される過程の中で、Webサイトでは文字(HTML)だけでは無く、画像やら動画やら様々なデータが利用されるようになりました。
それに従い、プロトコルの使い方も変化を遂げます。例えば、初期のWebでは、大きなサイズのデータ(例えばプログラムのインストーラーなど)を得る際には、FTP (File Transfer Protocol)というプロトコルが使われていました。また、動画を視聴する際には RTSP(Real Time Streaming Protocol )や RTMP (Real-Time Messaging Protocol)といったプロトコルが使われていました。HTTPでは無く、それぞれの用途用のプロトコルが用いられていたわけです。
しかしながら、それらの利用が浸透するに伴い、これらのプロトコルは一般的には用いられなくなり、HTTPが使われるようになります。今や、上に上げたようなプロトコルが Web サイトで使われることは殆どありません。ちょっと言いすぎな気もしますが、今や Web、さらに言えばインターネット上の殆どの通信は HTTP を使うように淘汰されていったわけです。
そもそもは HTML というテキストデータをやりとりするためのものだった HTTP が、当初の想定範疇を超え、様々なケースで使われ、誕生から 30 年余りを経過した現在においては、インターネット上の通信の大多数を占めるようになりました。考えてみるとこれは物凄いことだなぁと思います。なぜ、このようなことが成し得たのか?これはなかなか興味深いテーマなんじゃないかと。
その名前の定義を超えて利用され、今や体を成していない事自体が、 Web が進化したことの一つの証なんだろうなと筆者は思ったりします。
(次回へ続く)