Web の進化を振り返ってみる〜はじめに〜

この記事は、NTT Communications Advent Calendar 2022 2日目の記事です。

Webはその誕生以降、成長し続け、今後も発展していこうとしています。ここ10数年間、エンジニアとして仕事でもプライベートでも Web に関わっていますが、何か今、大きな変曲点を迎えようとしているなーと感じています。(あくまで個人の感想)

最初に断っておくと、Web3 がどーだこーだでは無いです。僕は Web3 という言葉はしっくりきてない派閥の人間なので。

余計なことを書きましたが、、、それが一体何なのか、まだ自分の中でも咀嚼できず。なので、まずはこれまでの歴史を振り返りつつ整理してみたいなと。

ということで、自分なりに Web の進化を振り返ってみたく連載ブログを書こうかなと思い立ちました。で、エンジニアらしく、まずは通信プロトコルという視点で書き始めてみます。まずは、前書き :)

通信プロトコル。なかなかとっつきにくい単語ですし、市民権を得られづらい単語だなーと思います。

そんな中で、HTTP は一般的によく知られている単語なのでは無いかな?と思います。例えば、Google を使うのであればブラウザに https://google.com と入力。筆者が勤めている NTT Communications のサイトであれば https://ntt.com ・・・といった具合。URL冒頭に必ず見られる、この http 。その意味はさておき、ここまで一般のメディアや広告などに登場するプロトコルは他に無いんじゃないかな?と思います。

この HTTP。Web を語る上で、最も重要なプロトコルというのに異論を挟む方は殆どいないと思います。

Web が誕生したのは 1991 年のこと。この年に筆者は大学に入学しまして、今から数えると 31 年前。個人的には「そんなに歳をとっちゃったんだなぁ・・・」と遠い目。そんな話はさておき、この30年余りで Web は大きく進化しました。

Webは、もともとは技術文書を各国の研究者が簡単に共有するためのものでした。以下に示すのは、世界で最初のWebサイト。Webの国際標準化を進めている W3C が再現したもので、テキストのみの非常にシンプルなものであったことが分かります。

世界で最初のWebサイト
世界で最初のWebサイト( http://info.cern.ch/hypertext/WWW/TheProject.html

しかし、Windows95 が登場した1995年頃を境として普及が広がると、ニュースサイトや企業サイトなど、見栄えの良い、よりグラフィカルものへと進化していきます。

2004年頃に Web2.0 と言われる現象が発生したことは大きなターニングポイントでした。ブログの登場により、Web上での情報共有は一般的な個人にまで裾野を広げ。Google Map や GMail の登場を契機として、Webアプリケーションの概念が登場。

さらに、twitter や facebook に代表される SNS により、人々はリアルタイムに、よりカジュアルに情報を共有するように。共有される情報は、テキスト・画像・映像と多様なものへと広がっていきます。最近では、YouTube や Netflix など、映像メディアを楽しむものへと進化。COVID-19 のパンデミック以降、Zoom や teams といった映像コミュニケーションも簡便に行えるようになりました。最近では、リアルタイム性の進化による没入感の向上、AI技術の進化と相まり Web はメタバースの世界へも広まっています。

このように見ていくと、Webはその誕生以来 30 年あまりの間に

  • テキスト情報(技術文書)
  • 非リアルタイム通信(アーカイブ情報の閲覧)
  • 限られたユーザー(各国の研究機関での利用)

から

  • 多様な情報(テキスト、画像、映像など)
  • リアルタイム性の向上(SNSやビデオチャットでのリアルタイム通信)
  • スケーラビリティの向上(世界中の人々が安価に利用できる)

を扱うプラットフォームへと進化しました。

このような進化をとげた背景にはどのようなことがあるのか?様々な要因が絡んでいると思いますし、その全てについて列挙し解説を行うのは、あまりにも荷が重いところ。

とはいえ、エンジニアの観点で見ると、そのインターオペラビリティ(相互接続性)の高さが主要因と言えると思います。

30年以上前に作られたWebサイトを今でもそのままに参照できることがまず凄い。30年前のOS/アプリケーションで用いらていたリソースを、今のWindowsやMacのアプリケーションで開くことは相当難解なことですが、Webはそれをいとも簡単に達成できる。インターオペラビリティの定義には色々とあると思いますが、

  • 世界中の新旧取り揃えた様々な端末
  • さまざまなNW環境
  • さまざまなブラウザやアプリ上

で新旧の文章や様々なリソースを共有し、楽しむことができる。インターオペラビリティ保持しつつ、進化を続けていることは驚くべきことだと感じます。

このような驚くべき現象をなし得ている Web。発明者であるティム・バーナーズ・リーは、今の状況を最初から予見していたのか?については、恐らくそこまでは考えていなかったのでは無いかと思います(本人から聞いたわけではないので憶測ですが)。ただティムが素晴らしいと思うのは、とにかくシンプルなものとして、Webの主要な構成要素、HTML / HTTP を作り上げたこと。最初の設計思想のシンプルさ故に、ユースケース(利用用途)の拡大に対して、柔軟に、適応的に、インターオペラブルに進化していけたのでは無いか?と。

その進化について、より具体的に探っていこうと思います。まず、最初にとりあげるのは、冒頭でもあげたように通信プロトコル。 HTTP。

今年 HTTP/3 が勧告化されましたが、HTTP/1.x -> HTTP/2 -> HTTP/3 へとバージョンがあがるにつれ、何が変わったのか?その背景はなんだったのか?といったところから、次回以降、紹介していきたいと思います。

P.S.

NTT Communications Advent Calendar 2022 明日の記事もお楽しみに :)

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小松健作(kensaku komatsu)
小松健作(kensaku komatsu)

Written by 小松健作(kensaku komatsu)

映像コミュニケーション系のエンジニア。70, 80年代洋楽大好きなアラフィフおっさんです。Web系の技術やサービスが大好きで、以前は Google Developer Expert や Microsoft Valuable Professionalなんかもしてました。勤務先と、このブログは全く無関係です。